パーラー排水処理装置実験プラントにおける経過

 パーラー排水処理装置実験プラントにおける経過



 本装置は酪農業において搾乳時にパイプライン・搾乳機械・一時貯蔵施


設等を洗浄する際に排出される汚水を、一部の糞尿と共に処理する装置


です。今回の実験は牛乳を搾乳室で搾乳するパーラー方式であるため、


汚水に牛の糞尿が一部混入します。



 装置は阿寒郡鶴居村にあいて平成19年11月25日より稼働を開始して



おり、約一年間各単位処理装置と放流水質の分析を実施し、その推移を


観察しております。 なお、水質分析は北海道立工業試験場様のご協力


を得て実施させて頂いております。



 処理方法は牡蠣殻接触材と揺動床を組み合わせた生物膜処理方式で


主たる材質はFRP、酪農規模は、200頭、1日の汚水処理能力は5.0


3/日となっております。また、牡蠣殻を接触材として採用する方式は


従来弊社が循環式汚水再利用処理装置(リサイクルトイレ)で実績があり


、汚水処理に抜群の能力を発揮出来るためです。



 途中、平成20年2月22日に水質の向上と安定を目的に追加処理装置


(沈澱分離槽)を加え現在の実験プラントとなっております。



 水質について稼働当初は11月下旬と気温も低く、処理装置に生物相が


形成し辛い条件も相俟って目標水質をクリアーするのが難しい状況でした


が、運転日数と調整を重ね追加処理装置を加えた結果、ほぼ安定した目


標水質以下の放流水質が得られる状態になり、現在もその状態を維持し


ております。



 水質分析報告などで、実験から一貫した生物処理である当装置がパー


ラー排水処理に有効であつ事が実証されたと考えます。



 また、現在弊社ではこの実験と併用して北海道道立工業試験場環境エ


ネルギー部・独立行政法人国立高等専門学校機構釧路工業高等専門学


校機械工学科・同群馬工業高等専門学校物質工学科 特認教授工業博


士 小島 昭氏 ・財団法人釧路根室圏産業技術振興センター釧路工業


技術センターのご協力の元、北海道より建設業等経営改革新補助金を受


け、廃棄乳処理装置の研究・開発を実施しております。



 廃棄乳とは乳牛の分娩後1週間程度出る高脂肪・高タンパクな牛乳や


乳房炎等を患った乳牛から出るいづれも出荷出来ない牛乳です。



 これをパーラー排水処理装置に直接流入させることは出来ないため、廃


棄乳専門の処理装置を研究・開発して直接公共水域に放流したり、パー


ラー排水処理装置へ流入させることが目的です。目下この研究の最中で


あり、炭素繊維・牡蠣殻等を中核にした処理装置の開発を目指していると


ころです。


                                              平成21年5月22日 現在