はじめに
北海道のメーカーです
 弊社は創立(1976年)以来一貫して浄化槽をはじめとする、汚水処理事業に携わってまいりました。平成5年より、トイレから排出される汚水を透明で臭いのないきれいな水、水質でいえばBOD5mg/L以下まで処理してこれをトイレ洗浄水として再利用する「循環式排水再利用装置」を開発し、道内や道外に延べ150基を超える納入実績をもち、その全てが順調に稼働しており、地域の事情により浄化槽を設置して放流できない処や、節水の観点から設置者から高い評価を戴いているところであります。
 地域に根付いた研究・開発
 平成19年からは酪農業において排出される搾乳排水(パイプラインやバルククーラーの洗浄水)に着目し「搾乳排水処理装置」を開発し、実験プラントとして阿寒郡鶴居村の酪農家にご協力を頂き試験的に設置し各公的機関に協力・指導を仰ぎながら各単位装置の水質調査を実施し、地域に似合った処理装置の研究・開発を実施してまいりました。その工程のなかにオランダを中心とした国で開発された上向流嫌気汚泥ろ床法・UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanketの略)を組み込み省エネルギーによる浄化もできるようになりました。
 産・学・管連携による研究・開発
 北海道立工業試験場(現・道立総合研究機構産業技術研究本部工業試験場)とこの装置について北海道のような寒冷地でも処理が可能であるかを共同で調査・研究するはk、群馬工業高等専門学校の小島 昭先生、釧路根室圏産業技術振興センター釧路工業技術センター等のご協力を得て研究・開発を実施してまいりました。
また、公的補助金も頂き運営に当たっており、主な公的機関と補助金は次のとおりとなっております。
〔公的機関〕
   ○北海道立総合研究機構産業技術研究本部工業試験場環境エネルギー部
     (旧北海道立工業試験場)
   ○独立行政法人国立高等専門学校機構群馬工業高等専門学校質工学科
     特命教授工学博士 小島 昭氏
   ○財団法人釧路根室圏産業技術振興センター釧路工業技術センター
〔補助金〕
   ○建設業等経営革新補助金(北海道より)
   ○釧路市新産業創造等事業助成金(釧路市より)
 カキ殻接触材による水質浄化
 接触ばっ気槽の接触材としてカキ殻を採用しているところてす。
何故カキ殻なのか?というと
@ カキ殻以外(例えばホタテ貝)と比較すると表面積が大きく、微生物の付着率が高いので生物膜の形成が容易
A 形状が複雑で原生動物や後生動物が生息しやすい
B プラスチック製接触材よりも微生物にとって生物化学的に親和性が高い
C 酸化処理が進行してPHが下がると、ろ材自身が溶解してPHを調整します。また、地域資源の有効利用という観点からもエコロジーな素材であります。
 
     
 カキ殻 俵状にして設置します カキ殻の堆積 
 炭素繊維による水質浄化
 酪農家では必ず発生する廃棄乳(出荷出来ない牛乳)も処理出来ないのか、搾乳排水処理のみでは片手落ちではないのかという声が現場からあったので、これも公的機関のご助力を得て開発・研究にとりかかり試行錯誤の末、廃棄乳処理に適した処理方法を発見し、処理の経過観測を実施したところ、満足のいく結果が得られました。処理工程の後半に前述の小島先生の開発された炭素繊維を用いた接触ばっ気方式を採用しました。現在、世界各国で汚染の進んだ河川・湖沼などでも水質改善のために数多く採用されているものです。
 
     
 炭素繊維 炭素繊維で処理中  水中の汚濁物質や微生物が付着します。